大阪市大・木野茂研究室へようこそ
このページは2004年度までのものです。
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2004年度の開講科目(於・大阪市立大学 いずれも全学共通科目、学部学年に関係なく受講できる一般教養科目で〜す)
「公害と科学」前期金曜5限(T部 ←昼間部の意)
「1回生セミナ〜・市大でどう学ぶか」前期木曜2限(対象はT部1回生)
「科学と社会」夏期集中講義(T部・U部合同)
「人間と科学・演習」後期金曜5限(T部)
「ドキュメンタリー 環境と生命」後期木曜2限(T部)
テキスト紹介『新版 環境と人間−公害に学ぶ』(東京教学社)
もくじ
はしがき
新版へのはしがき
第一章 水俣病はおわっていない (木野 茂)
水俣病は公害問題の原点
一 公害認定までの長い道程
水俣と日本窒素肥料(株)/朝鮮進出と日窒コンツェルン/敗戦とチッソの復興/環境の異変/水俣病の公式発見/排水路の変更と汚染の拡大/有機水銀説をめぐって/(水俣病の発生に関する謎)/第二の水俣病発生と公害認定
二 救済と責任
見舞金契約/認定制度のはじまり/国の公害認定以後/(患者の闘いが局面を切り開いた)/認定を狭めた新基準/認定制度の破綻/行政の責任/(学会が「判断条件」を科学的に誤りと見解)/申請を取り下げた患者
第二章 公害と労災職業病 (木野 茂)
誰が被害を受けるかの違い
一 水俣工場の労働者は…
チッソ水俣工場の労働災害/会社側に立った労働組合/水俣病と闘うことを決意した第一労組/水俣病裁判で証言した労働者たち/労働者の健康障害
二 ある町工場のマンガン中毒事件
「黒工場」とマンガン中毒/くり返された職業病と公害/労働基準監督行政の実態/(泣き笑い共に歩まん友を得て)/低い粉じん測定値のからくり/有名無実の特殊健診指導指針/労働基準監督行政の監督権は何のために…
第三章 三池炭じん爆発 (原田正純)
458人が死亡、839人が中毒に
炭じん爆発を否定する奇妙な説
事故の背景に合理化が…
CO中毒は予後が良い?
CO中毒の後遺症
患者と家族の苦しみ
33年目の一斉検診
第四章 公害と行政 (二木洋子)個人HP(「いきいき日誌」がおもしろい)
一 公害・環境問題と行政
1.公害なくして、資本主義の発展はなかった/公害対策基本法は解決にならなかった
2.高槻市の公害行政のあゆみ
二 現在の公害・環境行政の問題点
環境アセスメントは有効であるか/先端技術産業への対応の遅れ/JT「医薬総合研究所」の場合/情報公開がすすまぬ公害・環境行政/自治体もダイオキシン汚染源
三 今後の課題−環境自治体の創造にむけて
地球環境問題と自治体/環境基本条例、環境マネジメントシステムの確立を
第五章 薬害エイズは今… (花井十伍) ご連絡はネットワーク・医療と人権HPへ
血友病とはどんな病気か
血液製剤の登場から薬害エイズまで
薬害エイズへの対応−オランダの例
日本のエイズ対策は…
何もしなかった厚生省・製薬会社・医師
見捨てられた血友病会社
日本のエイズ第一号は誰か
エイズ・パニックからエイズ予防法、そして裁判へ
告知を受けた時、私はどうしたか
そして裁判に踏み切って…
第六章 薬害を防いだ労働者 (北野静雄)
製薬会社に勤めて…/大塚グループと大鵬薬品
一 ダニロンの薬害を未然に防ぐ
隠された発癌性データ/大鵬薬品の中では…/マウス発癌性試験報告書/秘密組織「ダニロン研究会」/労働組合結成へ/会社の労働組合潰しに抗して/労働者としての闘いと反薬害の運動/大鵬薬品の新たなデータ隠し/ついにダニロン錠販売を断念させる
二 第二のダニロン事件を起こさせるために
マイルーラ事件の発覚/マイルーラは安全か?/反薬害の労働組合の画期的な勝利/今、大鵬薬品労働組合は…
第七章 原子力の光と影 (木野 茂)
一 夢の原子力が人類の手に
原子力という夢のエネルギー/原子核の研究とナチズム/マンハッタン計画/原子爆弾の成功
二 原子力のもたらしたもの
冷戦構造と核軍拡競争/核実験による被害は今も続く/原子力の平和利用と軍事利用は表裏一体/原子力発電所による被曝/(原発で働く労働者の被曝)/原子力の傷跡は深い
第八章 プルトニウムと私たち (アイリーン・美緒子・スミス) ご連絡はグリーン・アクションHPへ!
一 プルトニウムと日本
日本のプルトニウム政策/プルトニウムは核兵器の材料/核廃絶と日本のプルトニウム政策
二 プルトニウムと原発
電気はダーティ/核のゴミ後回し作戦/他国での高速増殖炉/ずさんなプルサーマル計画/とてもエネルギー政策とは言えない
三 高速増殖炉は夢の原子炉か?
高速増殖炉の三つの大きな問題/相次ぐ事故とずさんな管理/本当に夢の原子炉か
四 核開発の疑惑と日本
原子炉プルトニウムで核弾頭をつくれる/行方不明のプルトニウム/核開発の疑惑と日本の役割
第九章 エネルギーと人間 (小出裕章) 原子力安全研究GのHP(英語版もあります)
一 エネルギーと種の絶滅
一生物種としての人類/人類のエネルギー消費の歴史
二 エネルギー問題としての原子力
原子力に対する誤解/(家庭での省エネは役に立つか)/枯渇しない石油と化石燃料/貧弱なウラン資源/無意味な高速増殖炉計画/もともと原子力は石油の代わりにならない/原子力が抱える危険/原子力「平和」利用は核の「軍事」利用を増殖させる
三 物とエネルギーの浪費
利用することしか考えなかった過去/エネルギー浪費…日本の歴史
四 不平等な世界
エネルギーと寿命/(原子力発電所を止めれば、暗闇生活?)/エネルギー消費の格差/目指す社会は?/人類に必要なのは生きることが可能な環境
第十章 公害と差別 (木野 茂)
公害問題と差別
一 患者への差別
原因不明の間…病気がうつる/原因がわかると…被害がうつる/公害が知れ渡ると…私らが迷惑/認定患者が増えると…ニセ患者呼ばわり/くり返される患者への差別
二 公害と差別の関係
公害による障害への恐怖/公害による障害児出生への恐怖/公害反対運動と障害者たち/(安全な食品を求めることの落とし穴)/優生思想を払拭できるか/胎児に障害があるとわかったら…/障害だけを強調するのではなく…
第十一章 公害と専門家の役割 (木野 茂)
公害問題で問われる専門家の責任
一 良心を売り渡した人たち
水俣病の原因究明を遅らせた人たち/1.爆薬説 2.アミン説 3.農薬塩水くさび説
二 途中で挫折・変節した人たち
有機水銀説を確信していたチッソの技術者/患者側証人から加害企業側の証人に
三 良心にこだわった人たち
チッソの中で原因究明を続けた附属病院長/新潟水俣病で行政の最前線に立った県衛生部長/(笛を吹く人を守ろう)/科学者の責任を問うた大学院生
環境と人間・関連年表
図表一覧
索引
あとがき
「公害と科学」 Environment and Human Society − Lessons from Pollution
教室は、旧教養地区に新設された全学共通教育棟822教室(2階)
→ 建設工事中の建物の隣です キャンパスマップ。
●科目の主題と目標
科目名は「公害と科学」であるが、科目の主題と目標は、教科書の題名や英語科目名でもある『環境と人間−公害に学ぶ』といった方がふさわしい。その意味は二つあり、一つは環境問題と公害問題は切り離せないということであり、もう一つは公害問題は終わっていないということである。
この科目の受講生には、ただ知識を増やすことだけではなく、科学と社会のあり方や、さらには人間としての生き方を考えるきっかけにしてほしいと願っている。
また、授業では次のような工夫を凝らしている。
(1)授業を分かりやすく(映像を豊富に使用、テキストあり、補助プリントあり、授業は一回ずつ完結)
(2)授業を興味深く(第一線で活躍している人をゲストに招く、現在のホットな問題を取り上げる)
(3)授業を双方向に(授業の後で「なんでもカード」を出すと次回にコメントが返ってくる)
●授業内容・授業計画
全13回のうち6回はゲスト講師を迎えるが、全授業のアレンジメントとコーディネートはすべて木野が行う。なお、順序は予定で、都合により変更がありうる。
1.公害の原点・水俣病の記録映画を観る:木野 茂 ←2004年4月9日(金)4時20分、旧教養地区の奥っこの全学共通教育棟2階822教室で開講
→ 映画ではなく、関西在住の水俣病未認定患者さんのライブになりました。坂本美代子さんと小笹恵さんです!
2.水俣病事件って知ってる?:木野 茂 ←4月16日
3.水俣病は終わっていない:木野 茂 ←4月30日
4.公害と行政:二木洋子(高槻市市会議員) ←5月7日
5.公害と労災職業病:木野 茂 ←5月14日
6.三池炭じん爆発と水俣病:原田正純(熊本学園大) ←5月21日
7.薬害エイズは今…:花井十伍(大阪HIV訴訟代表) ←5月28日
8.薬害を防いだ労働者:北野静雄(大鵬薬品労組) ←6月4日
9.原子力の光と影:木野 茂 ←6月11日
10.公害と差別:木野 茂 ←6月18日 劇の日。役者を募集中!
11.エネルギーと人間:小出裕章(京大原子炉実験所) ←6月25日
12.プルトニウムと私たち:アイリーン・美緒子・スミス(環境ジャーナリスト) ←7月2日
13.公害と専門家の役割:木野 茂 ←7月9日
14.レポート提出大会 ←7月16日
●評価方法
レポート評価を原則とする。単なるお勉強報告のレポートより、自力で何かをつかんだと認められるものを高く評価する。なお、言うまでもなく、出席が前提である。
●受講者へのコメント
この授業では、一方通行の授業で終わらないように、できるだけ教員と受講生や受講生同士のコミュニケーションを重視している。そのための工夫は以下の通り。
(1)同じ目線で顔の見える授業(受講生の反応を確かめながら授業を進めるため、受講者数は適正規模とする)
(2)紙面による自由な意見交換(「なんでもカード」による「CommunicationSpace」を設けた『週刊金曜日・公害と科学』を毎回発行する)
(3)教員・受講生同士の直の対話(授業後、自由参加による交歓会を適宜行う。なお、U部は時間の都合で無理)
参考までに、昨年の受講生の感想を紹介しておく。
「5限ということで体力的にも精神的にも少ししんどかったが、この授業には来る度に何か気づかされたり、考えさせられたりした。授業が終わっても今後ずっと考えていかなくてはならないと思った。」(文学部1回生)
「先生からのメッセージ、"自分で考えて下さい"、絶対に頭の中に入れておきます。短い間でしたが、1つ1つの授業+α、自分の目で確かめ、頭で考えること。一番大切なことを学べました。」(医学部1回生)
既習者や関心のある人のモグリ受講も歓迎。
●教 材
教科書:木野茂編『新版 環境と人間〜公害に学ぶ』(東京教学社)。
☆ この科目は大学案内に紹介されています。
「科学と社会」 Science and Society
●科目の主題と目標
この科目の目的は、現代の科学技術が社会や人間とどうかかわっているのかをテーマに、その意味を考えることにある。
科目の合言葉は「るるぶ」(観る・考える・学ぶ)。講義・ディスカッション・ビデオを組み合せ、自分の頭で考える新形式の視聴覚参加型科目である。
●受講上の注意
授業は9/24、27、28、29、30に夏期集中で行なう。5日間とも出席を前提とする。
受講登録者には掲示で知らせるが、事前学習用教材『るるぶ』を配布するので必ず取りに来ること。掲示に注意すること。
第1部の学生は全学共通教育棟2階の教務部、第二部の学生は二部事務室に、受領に来ること。
受講希望者は『るるぶ』を読んだ上で、同書で指示する事前レポートを作成し、8/12〜14に提出すること。提出しなかった人は受講できない。また、教室席数を超えた場合は事前レポートによって選抜することがある。
授業は5日間とも午前10時半から午後4時半まで。毎日、授業中に課題を出すので、課題レポートを仕上げ、翌朝授業前に提出すること。(最終日の分は別途指示)
●授業内容・授業計画
☆9/24「科学と社会」木野 茂
午前はオープニング。科学技術の発達が人類にもたらしたものは何か、研究と開発への制限は是か非か。
午後は、上記に関する各自の意見発表。その後、ホロコーストから奇跡的に生き延びた人たちの証言による記録映画「SHOAH(ショア)」第3部を鑑賞する。
☆9/27「生殖医療と"いのち"」御輿久美子(奈良県立医大、公衆衛生学)
体外受精、出生前診断、遺伝子診断・治療、クローン技術など、いのちの操作・選別につながる先端医療技術の現状とその問題点を、「生命操作―完璧な赤ちゃんへの幻想」というカナダのビデオを併用して考える。
☆9/28「からだに関する自決権」古沢希代子(恵泉女学園大、国際人権論・開発と女性)
第三世界における人口管理政策の経験を通じて、リプロダクティブヘルス&ライツ(性と生殖に関する健康及び自己決定の権利)と人々のエンパワーメント(政治的、社会的、経済的に力をつけること)について考える。また政策形成における先進国の関与を批判的に論じる。
☆9/29「自然環境の保護と人間」関 礼子(立教大学、地域環境論)
自然環境が社会問題になった過程を概観するとともに、生物の種の保存や個体数の調整など資源保全のための科学的手法を、地域社会における伝統的な資源保全の手法(利用しつつ保全する)と照らし合わせながら、自然環境の保全を「関係性の磁場を守る」という視点から論じてゆく。 【参考:関礼子HP】
☆9/30「環境と科学」木野 茂
公害をはじめ、環境破壊、エネルギーの枯渇など、科学の進歩が人類破滅への足取りを早めたことは確かだ。水俣病の記録映画を撮り続けた土本典昭監督と「SHOAH」のランズマン監督の対話ビデオを併用して考える。エンディングは、記録映画「阿賀に生きる」の鑑賞。
●評価方法
事前レポートと毎日の課題レポートで評価する。
●受講者へのコメント
この科目では教員と受講生の「知の格闘」を目指すので、受講生諸君の十分な準備が求められる。これを乗り切った人には、達成感と単位が間違いなくついてくる!参考までに、受講生の感想を少し紹介しよう。
「違う年齢の人や、普段は会うことのない二部生や、他学部生などの考えが聞けたことはとてもよかった。それに、なにより、様々な事柄について考える機会がもてたことがよかった(だからこそ、大変だったのだが)。
私は先のことを考えると、ひどく憂鬱になることがある。それは、あまりに問題が多過ぎて、将来に対する希望がもてないからである。しかし、最後の授業で見た『阿賀に生きる』の人々をみて、一緒に机を並べ勉強した人たちをみて、勇気づけられた。それがなによりであったと思う。」(法学部2回生,Y・Mさん)
●教材
『るるぶ』。参考文献やビデオは学術情報総合センター(市大の図書館)に多数揃えてもらっているので、自由に利用すること。
☆ この科目は大学案内でも紹介されています。
「人間と科学・演習」 Seminar : Science and Human Society
[この科目は、小人数の対話型で行うゼミナール形式の授業である。]
●科目の主題と目標
科目の主題は、科学の発達が現代社会や人類にどのように関わっているかという大きなテーマで、かつ広い範囲を対象とする。
科目の目標は、自分の頭で考えることと他の人の考えを知ることを体験することにより、その意義と楽しさを身につけてもらうことにある。
参考までに、これまでの受講生たちの感想を紹介する。
* 実は何度かこの授業をリタイヤしそうになりました。しかし、「今週こそだめかもしれない」と思っても、ゼミに参加し、議論に参加したり、ゼミの人たちの考えを聞いたりという、私にとって魅力的な誘惑のおかげで、最後まで続けることができました。
特にゼミ合宿のときに、「ここまで続けることができてよかった」と本当に思いました。いつもの授業より議論するための時間が多かったので、本当に楽しかったのです。自分ひとりで考える事に行き詰まっても、他の人の複数の視点が加われば、考えをもっと広げることができるし、深めることができるということを経験とともに学べました。(工学部1回生、S.Sさん)
* 大学の授業に対し学生は受け身になりがちです。教師も学生も、それほど努力しなくてもいい「大学の授業」・・・これは最近様々な所で問題とされている、大学についての世間の見方です。しかしこの授業においては例外でした。私達ゼミ生は思う存分「人間と科学」を楽しめたと思います。この授業での経験が発揮できるよう、今後あらゆる事に興味を持って生きていきたいです。(商学部2回生、A.Nさん)
* 何に縛られることもなく、ただ一つ与えられた条件は"自分で考えろ"ということだけ。確かに、読むのも書くのも苦手な私にとって、毎週の報告やゼミ論文は大変だった。それでもみんな最後までやり通せたのは、強制されなかったからだ。好きで自分の責任でこの授業を選択したからだ。
ゼミの教室はメンバーにとって最高の"遊び場"だった。そして子どもが遊びやけんかから生きていくための智恵を得ていくのと同様に、我々もあれだけの時間をかけて考えコミュニケーションをとるという経験から、これからの勉強に必要な多くのことを学んだ。(医学部1回生、S.Tさん)
* なんといっても「ゼミ合宿」と「ゼミ論集」がこの授業の目玉です。合宿では苦労の末なんとか形になってきた論文をもとに討論が繰り広げられます。厳しい指摘を受けることで自分自身の視野が広がるのを感じます。この議論を受けてさらに改良した論文を、ゼミ論集として冊子にしてくれるのです。これを見たとき、私は「本当にがんばってよかったな」と充実感を感じました。ふつうの授業では満足できないみなさんはぜひ、この手ごたえのある授業に挑戦してください!(文学部3回生、S.Mさん)
●授業内容・授業計画
このゼミでは、各自の報告をもとに、ディスカッションを中心に進める。最初は共通のネタとして有吉佐和子さんの『複合汚染』を題材にするが、その間に各自、自分のテーマを決めて取り組みを進め、毎週、何らかの「お土産」を持ってくる。取り組むテーマは、科目の主題から外れない限り、何でもよい。
12月中旬には、各自の課題研究発表会としてゼミ合宿(1泊2日)を行う。合宿での議論や宿題をもとに、課題研究のレポートをゼミ論文として仕上げればゴールイン。ゼミの記録とゼミ論文は「ゼミ論集」としてまとめる。
●受講上の注意
学年は問わない。言うまでもないが、出席は前提。
●評価方法
授業での積極度とゼミ論文で評価する。
●受講者へのコメント
関連科目:「公害と科学」「科学と社会」「ドキュメンタリー・環境と生命」
●教材
指定書:有吉佐和子『複合汚染』(新潮文庫)
☆ この科目は大学案内でも紹介されています。
「ドキュメンタリー・環境と生命」 Documentary・Environment and Life
●科目の主題と目標
現代の自然科学と人間の関わりの中でも、環境と生命は人々から大きな関心をもたれているテーマであり、本学でも総合教育科目AやBで関連した科目がいくつも開講されている。ところで、この種のテーマではドキュメンタリー(映像記録)が授業の極めて有効な素材であるが、セメスターの時間数との関係で、講義の補助的な説明に使うのが精一杯である。一方、現代の学生は様々な媒体による膨大な情報に囲まれているが、その中から必要な情報を得ることに慣れていない。ドキュメンタリーはその貴重な情報の一つである。
そこで、本科目は他の講義主体科目との相補的なアプローチを目指して、ドキュメンタリーの鑑賞をメインに展開する。もちろん、単なる鑑賞で終わるのではなく、そのドキュメンタリーから問題を読み取り、場合によっては批判的な考察も含めて、自分の考えをまとめることが目的である。
参考までに、昨年取り上げたテーマは、狂牛病、水俣病、イタイイタイ病、薬害ヤコブ病、サリドマイド、チェルノブイリ、命の誕生、生殖医療、地球温暖化、難民、地球家族などである。
●受講上の注意
この科目を受講する人は学情または自分のパソコンでEメール(携帯メールは不可)及びホームページ閲覧ができるようになっておくこと。
●授業内容・授業計画
授業では、毎回、45分〜60分程度のテレビ・ドキュメンタリーを鑑賞し、その後、教室で感想や意見を交換する。
授業の後、ドキュメンタリーの内容や意見交換で出た疑問等について自分で調べてから、自分の意見をメールで提出する。提出されたメールはメーリングリストを使って全員に配信される。各自、次の授業までに全員の意見を読み、自分以外で最も優れていると思うものを選んで次回出席時に投票する。
受講生が選んだ意見と私が選んだ意見は科目のホームページ <「ドキュメンタリー・環境と生命」の世界>に掲載する。
2002年度の様子は→ ☆★☆ 2003年度の様子は→ ☆★☆
●レポート
授業期間中に放送されるTVドキュメンタリー(環境と生命に関する)の中から1本を選び、その要旨と自分の意見をまとめ、レポートにして提出する。番組の探しは、「生命・環境系の週間テレビ予報 on the Web」や環境goo内の「TVチェック」が参考になるかも…。
●評価方法
毎週のメール7、レポート3の割合で総合評価する。
●教材
毎回のドキュメンタリーに関する資料はプリントにして配布する。参考図書等は適宜紹介する。
☆ この科目は大学案内に紹介されています。
○「ドキュメンタリー・環境と生命」早分かり
* 毎回、テレビ・ドキュメンタリーを鑑賞する。
* 毎回、ディスカッションの時間がある。
* みんなの意見がメーリングリストで読める。
* 優秀意見が科目のホームページに掲載される。
* 授業とインターネットを両方楽しめる。
木野 茂 大阪市立大学教員
きの・しげる 大阪市生まれ。1966年、大阪市立大大学院理学研究科修士修了と同時に助手となる。学位は理学博士。同研究科講師を経て、2003年4月から新設された大学教育研究センターに移籍(助教授,副所長)。2005年3月、定年退職。
71年から公害調査と被害者支援に取り組み始め、83年からは同大学自主講座の運営に加わる。
94年から自主講座を正規科目化した「公害と科学」などの授業を開講。その数、徐々に増加して、4科目に達する。
編著に『新版 環境と人間−公害に学ぶ』(東京教学社)、共著に『新・水俣まんだら−チッソ水俣病関西訴訟の患者たち』(緑風出版)など。
2005年2月の新刊:『大学授業改善の手引き―双方向型授業への誘い』
☆★☆便利な「生命・環境系のテレビ番組お知らせサービスのホームページ」はこちらから